先ほど新日本プロレスの録画を観ようと再生した直後、字幕でノア三沢さんの死を知り、驚き、悲しんでいます。
実際に亡くなったのは昨夜10時10分とのことですから、昨日もニュース等で報じられていたのでしょうが、どういうわけかさっきまで知らずに過ごしていました。
僕は祖父の代から続くプロレスファンで、祖父が生きていた頃は父を含めて3人、テレビの前に並んでプロレス観戦をしていました。子供の頃記憶に残っている一番古い10カウントはブルーザーブロディのものでした。そのときも確かにものすごい大きな喪失感がありましたが、今回は、それとは比べものにならないくらいの驚きと寂しさでした。
子供の頃は父親や祖父につられてプロレスを観はじめ、徐々に好きになっていったわけですが、特に初代タイガーマスクの登場以後は完全に虜になり金曜夜8時からの新日本プロレスの放送を毎週心待ちにしていたことを記憶しています。その頃に確立された僕の「タイガー派」はずっと続いていて、一時期プロレスを観なくなった中学後半から高校くらいのときも、2代目タイガーマスク(これが全日入門直後の三沢光晴)や3代目(新日の金本兄貴)などの登場のときはぴくっと反応して、タイガーマスクと名の付くところだけは観ていました。初代の行方もかなり追いかけていて、UWFやUWFインター(スーパータイガーの時代)も、テレビで放映がたまにあるとそれだけは逃さずおさえていました。ヘビーよりJr、力より技、という好みは今も続いています。ちなみに今、新日で活躍中のの4代目タイガーは初代の直系弟子ということもあり、技も似ていて大好きです。
今書いたように、中学後半から高校にかけてプロレスをほとんど観なくなった時期があったのですが、また大学からどっぷりとプロレス観戦をするようになりました。そのきっかけは、深夜に放送されていた全日本プロレス中継での、三沢、川田、小橋、田上などによるギリギリの試合を目の当たりにしたことです。しばらくプロレス観戦を離れていたからなのか、この人達がすごいのか、そのときは分かりませんでしたが僕が子供の頃に観ていたプロレスとは隔世の感のあるすさまじい試合が展開されていました。良い試合はビデオにとって残しておきたいと思って、録画していると、毎回毎回そんな試合で、「ああ、これが今の彼らの当たり前なんだ」と理解して、保存のためのビデオ録画を止めたということもありました。そしてその中心にいるのは、僕が愛してやまない「タイガー系」の三沢光晴です。大学に入り、時間も自由になったことから、全日本プロレスの試合会場にも足を運ぶようになりました。当時は馬場さんもまだ生きていて、後楽園ホールなどでは購買にどっかと腰を下ろし、Tシャツを買うと葉巻の煙をくゆらせながら目の前でサインをしてもらったものです。
その後、馬場さんの死などを経て、ノアの旗揚げになるのですが、ノアになっても三沢好きは変わりませんでした。会場に足を運ぶ頻度は減ったもののTV中継は必ず観ていました。3月か4月頃に、ノアのプロレス中継が打ちきりとなり、僕も試合をよく見られなくなり、おそらくノアの経営にも多大な影響があったのでしょう。自分の家を抵当にまで入れて、若手選手の生活を支えていた三沢さんは、社長として、そんな状況で休養したり、試合を休んだり出来なかったのかも知れませんね。ずっと体調不良は訴えていたそうですから、それを思うと、辛いです。経営者でもあり、エースでもあることの大変さは察して余りあります。
プロレスが好きでこの世界に入った天才は、結局プロレスに人生を捧げて、最後はリングで倒れてしまいました。人の幸せは他人にはわかりません。でも少なくとも不幸ではなかったと、強く思います。ノアのスタッフ、選手たちは、社長そしてカリスマを失った直後で気持ちの整理など大変だと思いますが、プロレスを高めたい一心で満身創痍で頑張ってきた三沢さんの遺志を汲んで奮起してもらいたいと思います。闇雲に頑張るんじゃなくて、冷静に、真の意味で遺志を継いで欲しいな、と思います。三沢さんがノアを立ち上げるとき「若い選手は(新日のように)、レーザー光線など派手な入場をやりたいはず」と言っていたことも印象深く覚えています。若手の育成、それとプロレスを多くの人に観てもらいたい(プロレスビジネスを確立したい)という二つの思いが彼の原動力だったことは明らかです。
個人的にも、三沢さんの試合からは本当に多くの力や勇気をもらいました。技のキレとかタフさとか細かいことも含めて、観ている人の立場に立って試合をされているからこそ伝わるものがあったのかな、と思います。物静かで、でも年末の特番では酔っぱらって下ネタも連発していた三沢さん、未だに亡くなったことが信じられません。感謝しています。本当に今までありがとうございました。そしてお疲れ様でした。
ご家族の皆様、関係者の方々の安らぎと、三沢さんのご冥福を心からお祈り申し上げます。
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