三笠書房 (2007/07)
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志のバトンをつないでいますか?
リーダーを目指すものよ、大志を抱け。
斎藤孝さん翻訳による「求心力」。「フラット革命」とほぼ並行して読んだのだが、扱うテーマが見方によっては対極的で、非常に興味深かった。対比は、「ネット vs 現実の組織」、「個人の超人化 vs 感情そのままの許容および尊重」、「厳密な言語化 vs 曖昧なコミュニケーション」のあたり。この2冊は「リアル社会組織での人とのつきあい方(求心力)」と「ネット上での発言、発想の仕方(フラット革命)」という対比で読める。
結論としては、両方必要だということ。
大事なのはどちらか一方だけではだめで(ネットの場合は発言さえしなければいいのだが)、リアル組織とネットではそもそもコミュニケーションに違いがあることを強く認識して、使い分けないといけない。
フラット革命は、インターネット上でのコミュニケーションやジャーナリズムについて述べていて、どちらかというと、インターネット上においては明治維新のときのように人々に頭の改革を迫ることが必要だと述べ、いわば強く生きろ的な必要性を提起している。それに対して「求心力」は、リアル組織の、特にねっとりとした会社などの組織の上下関係で、上に立つ人が部下の心理を理解すること、つまり「許し」がテーマにある。相手にも厳しさを求めるネット上と対称的である。
ネット上はどうしても言葉で細かく説明する必要があるので、理屈っぽくなる。また言葉ですべてを表現するのはとても難しいので、言葉足らずや語彙不足で誤解が生じ、いらぬ論争も起きる。一方リアルワールドは逆に、言語の厳密さをあざ笑うかのようである。「何でイヤなの?」「だってイヤなんだもん」「何で好きなの?」「だって好きなんだもん」というやりとりが時としてまかり通る。人間絶対。求心力を読んで象徴的だったのは以下の部分。
「おだてられれば、あなたを信じない。批判されれば、あなたを嫌いになる。無視されれば、あなたを許さない。勇気づけられれば、あなたのことを忘れない」
いくらいろんなことを言っても結局人間はそうなんだから、ここに気をつけると求心力を得る一助になるよ、という話。インターネット上では、こういう感情に直結したリアクションは、否定されがちだ。もっとニュートラルでいろよと、感情に流されるなよ、というような暗黙の慣習がある。でも「求心力」で書かれているとおり、リアルワールドでは何も否定されない(否定しないことが自分にとって間接的にメリットになる)。そのままを受け入れて、尊重しようというのが「求心力」。そしてそのテクニックを身につけることがあなたにとっても得なのですよ、ということだ。だっていくら頭ではわかっていても、いやだなーと「思う」ことはやめられないんだもんね。相手のそういう感情は尊重してあげて、自分に対してはネット上のように厳密に厳しく、というのが理想的だと思う。
両方読むとおもしろい。
スカイプは今年になってから恐る恐るつかいはじめ、このブログも今はじめて読んでます.
いろんな事、たくさん書いてますね。同感するところがたくさんあります。
また、おじゃましますね。
投稿情報: ジャスミン | 2007年9 月27日 (木) 21:10
ジャスミンさん、コメントありがとうございます。また、Skypeを使ってくださってありがとうございます。このブログは本当に個人的なものなんです。分散する自分の興味をその都度思いつきで記しています。割合としては、息抜き50%、記録30%、いろいろな訓練(?)20%といったところでしょうか。今後とも気軽におつきあいいただければ幸いです。
投稿情報: siwata | 2007年9 月28日 (金) 22:26